令和6年度 秋の学校長挨拶 「ロールモデルとしての主体的に学び続ける教師」
宮城県宮城野高等学校 校長
宮城県高等学校文化連盟 会長
早坂 重行 博士(教育情報学)
(写真)大学入試学会 第1回 創立記念大会での研究発表(於:東北大学青葉山新キャンパス青葉山コモンズ)
本ホームページをご覧なっていただけるとわかりますが、宮城野高校は、文部科学省の目指している「令和の日本型学校教育」における「個別最適な学び」・「協働的な学び」の実現に向けて、探究・STEAM・DXを推し進めてきました。これらの学びが全国的に評価され、みやぎの教育をリードしていることは本ホームページ等での既報の通りです。このことは、本校創立のコンセプトである「自由な学び」を基盤にして、進学型の旧総合学科の「探究的な学び」の伝統、そして美術科の「アート思考・デザイン思考」という本校の学びの特色が「さらに自由な学び」として開花したと考えております。
もう一つ本校の探究・STEAM・DXの学びを支えているのは、本校の先生方の「研究と修養」です。先日、本校の公開授業研究会として「生徒が輝く授業デザイン」が開催されました。全国の授業研究の第一線で活躍されている3人の先生方を東京などからお迎えして、本校の先生方と協働で授業をして、本校生の学びをどう充実させるかを授業研究するものでした。このような取り組みは、全国でも珍しい貴重なものです。本校の先生方は、公開授業研究会までのほぼ2カ月の間、招待するゲストティーチャーの先生方とon-line等で学び合い、打ち合わせをして、授業研究を進め、研究会に臨みました。研究会では、県内外から出席された先生方から高い評価を得ました。研究会で基調講演していただいたベネッセ教育総合研究所 教育イノベーションセンター主席研究員の山下真司様からは、「日々、試行錯誤しながらも意欲的な実践に取り組まれている貴校の先生方の真摯な姿勢は、全国でも優れたもので、敬服に値する」とのお言葉をいただきました。
国の重要な教育施策を提言する文科省の中央教育審議会が『「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けて』「主体的に学び続ける教師の姿は、児童生徒にとっても重要なロールモデル」の中で、次のように述べております。
教師は、子供たちにとって身近な存在のうちの一人であり、その人格形成に与える影響は大きい。主体的に学び続ける教師の姿を目にすることで、自らも主体的に学び続ける意欲を子供たちが培うことが期待できる。
山下先生にもおっしゃっていただきましたが、宮城野高校の先生方は、上記の「主体的に学び続ける教師」を高いレベルで実践していると言えます。
さて、校長はどうかと言うと、東北大学の高度教養教育・学生支援機構の倉元直樹先生が中心となり設立された大学入試学会の第1回学会が9月末に東北大学の青葉山コモンズで行われました。校長の私も研究発表を行い、30年前に国の施策の実現を目指した宮城県の高校改革によって設立された本校が、全国に誇るべき「自由な学び」を行ってきたことについて、学術研究として発信しました。本校の豊かな教育実践を質的心理学の方法論で、分析し、考察した論考は、校長の参与観察的、インタビューイの先生方のアクションリサーチ的な観点も併せて、学術的に評価されたと考えております。
また、12月には、北海道・東北地区のDXハイスクール指定校150校あまりが参加するDX実践報告会(仮称/主催:ベネッセコーポレーション)において、本校が全国に先駆けて東北大学とDX連携を締結し地元小学校や企業とも連携事業を推進していることなどを「全国最速の教育DX取組事例」として学術研究のアプローチから校長自ら発表する予定です。
校長として、教育学の専門性を高める努力も重ねて、先生方の学びの「ロールモデル」となれるよう、そしてそのことで先生方が学びを深めていただくことで、より一層の生徒の学びの充実を目指していきます。
(2024年11月19日校長室にて)
<参考>
「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適の学びと、協働的な学びの実現~(答申) 令和3年1月26日 中央教育審議会
「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けて(審議まとめ) 令和3年11月15日 中央教育審議会
大学入試学会第1回大会発表予稿集 大学入試学会
令和6年度 夏の学校長挨拶
「文部科学省DXハイスクール(高等学校DX加速化推進事業)指定」「三菱みらい育成財団リ・エントリー(継続)助成認定」「DXハイスクール取組好事例として、文部科学省ホームページに掲載」に寄せて
宮城県宮城野高等学校 校長
宮城県高等学校文化連盟 会長
早坂 重行 博士 (教育情報学)
撮影:小島美樹(おだじま写真事務所代表・宮城野高美術科5回生)
本校は、創立以来「自由」をコンセプトに生徒の学びを充実させてきました。その成果は、全国的にも注目されていて、最近ではVIEW 2023年10月号(ベネッセ)、Guideline 2024年4・5月号(河合塾)などの全国広報誌に取り上げられております。さらに、探究学習における国際・語学ゼミがアートマイル国際協働学習プロジェクトで、外務大臣賞を受賞いたしました。本校の美術科と総合学科の流れを汲んだ普通科の特色を活かしたデザイン思考を取り入れたSTEAM・DX教育が評価されたと考えております。
また、この4月には、文科省からDXハイスクールに指定され、6月には、地域の探究学習の中心校として三菱みらい育成財団からリ・エントリー(継続)の認定を受け、引き続き助成を受けることが決定いたしました。DXハイスクールについては、全国1010校の採択校の中での好事例として、県内はもちろんのこと、東北・北海道地区で唯一文部科学省ホームページに掲載されています。
上記の探究・STEAM・DXの学びの充実は、大学進学実績にも表れてきております。令和6年度入試では、2011年度以来の東北大学5名現役合格、北海道大学の現役合格を含めると、現役生6名の旧帝大合格は、同偏差値レベルの他の進学校と比しても優れた実績です。また、美術科からは、東京芸術大をはじめ錚々たる美術系の大学に合格しております。
宮城野高校は、「自由」を尊重する校風の中で、探究・STEAM・DXで、さらに「自立した学習者」を推進し、これからの大学入試、大学・社会で活きる学びを充実させていきます。また、このほかにも生徒の学びを充実させる具体的な施策として、昨年度は、定期考査ごとの自宅学習日を導入し、生徒と教員がそれぞれ丁寧に考査の結果について、評価し、次の学びに繋げていくことを目指しました。今年度は実力考査を撤廃し、テストに頼らない学びにおける自主性・自律性の発揮を目指します。どうぞよろしくお願いします。
(2024年7月17日 校長室にて)
令和6年度 春の学校長挨拶 「探究・STEAM・DXでさらに自由な宮城野へ」
宮城県宮城野高等学校 校長
宮城県高等学校文化連盟 会長
早坂 重行 博士(教育情報学)
撮影:小島美樹(おだじま写真事務所代表・宮城野高美術科5回生)
宮城野高校には,創立以来変わることのない自由と,自由をバックグラウンドとした探究・STEAM・DXといった最新の学びがあります。
本校の探究学習の取り組みは,VIEW(ベネッセ),Guideline(河合塾)などで,全国の中でも優れたものとして取り上げられており,令和6年3月には,国際・語学ゼミがアートマイル国際協働学習プロジェクトで,外務大臣賞を受賞いたしました。デザイン志向,探究の先駆といった美術科と総合学科の特色を活かした探究・STEAM・DX教育が評価されたと考えております。令和3年から探究の取り組みついては,三菱みらい財団から助成を受けておりましたが,令和6年4月には文部科学省の高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)の指定を受けております。
宮城野高校は,文武両道がスタンダードであるみやぎの教育に自由という新たな視座を導入し,全国でも稀有で貴重な学びを実践してきました。県内の公立で唯一の美術科と進学型の総合学科の伝統を受け継いだ普通科を設置し,宮城県高等学校文化連盟の事務局校でもある宮城野高校は,若者の文化芸術活動の拠点としてみやぎの教育の豊饒さに貢献していきます。
(2024年5月1日 校長室にて)
インドネシアのSMA Santo Paulus Pontianak high schoolと本校国際ゼミがジャパンアートマイル国際協働学習プログラムで作成した作品(上)といただいた賞状(下)
【 早坂重行 校長 プロフィール 】
宮城県宮城野高等学校長。宮城県高等学校文化連盟会長。宮城県高等学校体育連盟副会長。宮城県仙台市生まれ。東北大学教育学部,筑波大学大学院修士課程,東北大学大学院教育情報学教育部博士後期課程修了。博士(教育情報学)。研究領域は,言葉,教育情報,教師教育,教師の働き方,国語教育など。
自身の母校でもある宮城県仙台第二高等学校教諭,岐阜県立多治見北高等学校教諭(人事交流)等における現場の経験,および宮城県教育委員会教職員課課長補佐(管理主事)等の教育行政経験を経て,宮城県蔵王高等学校校長(令和3年度~令和4年度)を勤め,令和5年度より現職。その間,文部省(現文部科学省)の海外派遣研修,教職員等中央研修等を通して得た国内外の教育事情に関する視座をもとに,東北大学大学院博士課程後期三年の課程に編入し,博士論文を執筆。現在も研究を継続している。
最新の研究成果は,「教師の自発的なメンタリングはどのようにして実現し,促されるか?」『質的心理学研究』2023年22巻1号(日本質的心理学会編)。
宮城県宮城野高等学校
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