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「あえて二兎を追え」・・・冬季休業明け校長講話から

 みなさん、明けましておめでとうございます。懲りずに今年も「校長通信」を続けます。今日は、SHR→大掃除の後、放送により私からの講話を聞いてもらいました。以下に概要を掲載します。

 

310107校長講話

 

 みなさん、改めまして明けましておめでとうございます。みなさんとともに、元気に平成31年をスタートできることをうれしく思います。

今のところ、インフルエンザは大はやりではありませんが、例年の流行期は年明けからです。くれぐれも健康管理に注意して、新年のスタートを切ってほしいと思います。

 さて、昨日の朝日新聞にうれしいニュースが掲載されておりました。朝日新聞第一面天声人語の左上に「折々のことば」というコラムがあります。哲学者の鷲田清一氏が書いております。様々な本などから、これはという短いことばを紹介し、それにコメントをつけて紹介している欄です。そのコラムにちなみ、朝日新聞社が「私の折々のことばコンテスト2018」を主催しました。全国の読者が自分の好きな折々のことばを紹介し、そこに短いコメントをつけて、応募するというものです。全国から2万7千名を越える応募者があり、昨日その入選作が朝日新聞に掲載されました。そこで本校3年次のWさん、本人の許しを得ていないので、ここでは匿名とします。Wさんが見事、全国第3位に相当するZ会賞を獲得しました。せっかくですからここでWさんが選んだことばとコメントを紹介したいと思います。

 Wさんは、中学時代の恩師のことばとして、このようなことばを紹介しています。「二兎を追わぬ者は、二兎は得ず」。もう一度繰り返します。「二兎を追わぬ者は、二兎は得ず」。Wさんのコメントはこうです。「自分の将来を書く欄で二つのやりたいことを一つに絞れず、焦る気持ちを書いた。この言葉に、やりたいことが色々あるのは長所、視野が広がるチャンスだと思えた」。以上です。

すごいですね。やりたいことがふたつあってなかなか絞れないときの焦り、そしてこの言葉に勇気を得て、二兎を追う気持ちになれた、視野が広がるチャンスととらえることができた。その気持ちを限られた字数の中で率直に表現できています。

実は、朝日新聞にこんな記事が掲載されていますよと教えてくれたのは、本校PTAの方からメールでした。本校の応援団の方々に感謝です。

さて、こんなふうに紹介したのは、私自身も自分の人生の大先輩からこの言葉を教えていただいたのです。

私が大先輩から教えていただいたときは、表現がちょっと違うのですが、「あえて二兎を追え」でした。一年次生の入学式の式辞で紹介したので、覚えている一年次生もいるはずです。当然、みなさんは「二兎を追う者は一兎をも得ず」を知っています。どちらかを選択しないといけない、でも捨てきれない、そんなときにこのことわざにせかされ、どちらかを涙をのんであきらめる、そういう場面に何度も立ち会ってきたと思います。でも、「あえて二兎を追う」、そうでもしなければやっていけないような場面が現代社会は多くなっている、そう思います。事実、今の世の中は、AもBもどちらも成り立たせなければならないような、つらい、しんどい場面の連続であると、強く思います。

もちろん昔から言いならわされてきた「二兎を追う者は一兎をも得ず」も大事です。でもこれからの時代を担うみなさんに贈りたいのは「あえて二兎を追え」です。言い換えるとあえて貪欲に様々なものにチャレンジしてほしい、時には二つも三つもたくさんのことが一度にふりかかる、目の前にチャンスがどーんと広がるかもしれない、そういう時に引くなと伝えておきます。「前へ」と教えておきます。この「前へ」というのは、たぶんラグビー少年の大場先生の大好きな言葉だと思います。その訳は、先生に直接聞いてください。

さて、改めて3年次生のWさん、おめでとうございます。そしてまた、宮城野高生みんなの一層の活躍、今年のさらなる飛躍を期待し、新年スタートにあたっての話とします。3年次生のみなさんは、いよいよ受験本番です。この宮城野高校で培った力を信じ、己の未来を、勇気をふるって切り拓いてください。

以上です。

 

 

以上のような話をさせていただきました。この話のもとになったのは、もちろんWさんの新聞記事によるものなのですが、その朝日新聞に掲載されたのは昨日の日曜日。それまで話の内容を何も考えてなかったのかというと、実はちょっと違います。さすがの私も、土曜日までは別プランを立てていました。それは後日改めて「こんなことを話したかったよ」という形で書いてみたいと思います。

今日は、このへんで。