ブログ

某大学の入試問題から

 (7/22記述)

 明日から4連休。それを前にして今日は晴れ間がのぞき、湿度が高かったため、相当蒸し暑くなりました。みなさん、大丈夫だったでしょうか?先の日曜日は久々の30度を超える暑さ。今日も30度を超えるかなと思ったのですが、そこまではいかなかったようです。天気予報によると、梅雨明けはまだ先のよう。平年は25日頃なので、この4連休中にかなと思ったのですが、このままだともしかしたら8月までずれ込むかも。いずれにしても、蒸し暑いのは勘弁してほしいですが、日照不足は、農家の方にとってたいへんな問題です。7月中に梅雨明けがほしいですね。
 さて、昨日は3年次のみなさんは、進路講演会。夏の天王山を前に、心構えを説いてもらったと思います。この夏を計画的に学習に取り組み、希望進路実現に向けて、着実に前進してほしいと思います。なお8/7までは、授業と面談と実力養成講座の組み合わせです。くれぐれも間違いのないように。
 今日、進路室にお邪魔したら、進路室に備えてある赤本・青本の整理中。中に、あこがれの某大学の赤本があったので、借りてきました。この大学は、国語の問題がすごいのです。パッと開いたら、やっぱりありました。
 たとえば、2015年度 国語問題。少し引用します。

大問一 次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。

       或る日 雨の晴れま
       路に竹の皮の包みが落ち
       なかから つくだにがこぼれ出た
       つくだにの小魚は水たまりにつかったが
       とうとう生きて返らなんだ

     井伏鱒二の小説、『洋之助の気焔』(昭和九年)の冒頭に掲げられた詩なのだが、彼が得意としていたナンセンス・ユーモアの【  ⑴  】たるもの

    がある。

 
     以下 省略


 さて、どうでしょうか。これは当然出典が明記されていて、本文末尾に、安藤宏氏の『太宰治 弱さを演じるということ』と記されています。
もちろん私は、【  ⑴  】に入る四字熟語などをきちんと答えられるように勉強しなさいと言うために、この入試問題を紹介するのではありません。伝統と歴史のある某大学の入試問題において、問題文の冒頭に、井伏氏の小説の冒頭に掲げられた詩がぽーんと出てくるのが、なんとも痛快なのです。自分が授業をやっていたら、絶対授業のまくらに扱いたいところです。

(以下、7/25記述)
 もう少しこの問題文から引用してみます。太宰の研究家安藤宏氏の名文です。

    われわれは人生の役に立つ教訓を得るためだけに小説を読んでいるわけではない。フィクションは単にフィクション(絵空事)であってよいはずだ。絶え

   ず自らの行為に意味づけをしなければ生きていけぬのが人の哀しい性であるとするなら、フィクションからアレゴリーを求めようとするこうした読み方自体

   を風刺し、笑い飛ばしてみせるのもまたフィクションの役割にほかならないのである。たとえば太宰の『晩年』の中に『ロマネスク』(昭和九年)という短

   編が収められているが、その中にさらに「喧嘩次郎兵衛」という小編がある。舞台は江戸時代の東海道三島の宿。鹿問屋という造り酒屋の次男である次郎兵

   衛は、商人根性を嫌って毎日酒を飲み、ならず者扱いされていた。
      

      中略

    

    結末で次郎兵衛は牢の中で次のような歌を哀れな節で口ずさむのであるという。

       岩に囁く
       頬をあからめつつ
       おれは強いのだよ
       岩は答えなかった

     彼のクワダてる荒唐無稽は、〈岩〉、すなわち日常現実世界からむなしくはねかえされてしまう。そしてまさしくこの連戦連敗であるという一点にお

    いて、「ナンセンス」は初めて「センス」に拮抗することができるのである
              (安藤宏 『太宰治 弱さを演じるということ』による)
  
 どうでしょうか。最後の傍線部が付された部分で、この大学は選択肢で問題を作っています。「傍線部の説明としてもっとも適当なものを次の中から選びなさい」というパターンです。おそらく問題作成の先生は受験生に書かせたいのだと思います。書かせたいのですが、さばききれない数の受験生の答案を処理するために、仕方なく選択問題にしていると思います。
 今の、宮城野高校生は、最後の傍線部について、説明しなさいと記述問題が出されたら、どう答えるのでしょうか。とても興味深いところです。

 

 週明けからは、各年次とも、三者面談期間に突入です。保護者の皆様には、お忙しいところ、申し訳ありませんが、ご協力よろしくお願いします。
 (今日、土曜日は、学校で英検実施です。受験生のみなさん、がんばって!)
 

 今日は、このへんで。