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卒業式 式辞

 天気予報は、曇り時々雨。そのとおり日中、弱い雨になりましたが、お湿り程度でした。こちらの雨は、さほどでなかったのですが、東京のほうは、昨日から雨降りだったようです。3/3のひなまつりは、「東京マラソン2019」。冷たい雨の降る中で、たくさんのランナーが走っていました。自分の大先輩も見事当選したとかで、走っていたはずですが、昨日の天気で、さてどうだったでしょうか。風邪をひかれたりしていないか、心配です。改めて後日、聞いてみようかと思います。

さて、3/1の卒業式。卒業生のみなさん、また保護者やご家族のみなさん、改めまして、おめでとうございます。

さらには、3/1の日に、この通信に書けなかったのですが、PTAのみなさんが食堂でPTAカフェをやってくださいました。大盛況でした。お忙しいところ、たくさんの方々が応援に駆けつけてくださいました。ありがとうございます。私も一杯、ごちそうになりました。コチコチに固まっていた緊張感がほぐれてきて、とてもおいしかったです。

 

さて、せっかくなので、卒業式の式辞を掲載します。受験等で仕方なく欠席された卒業生のみなさん、これで勘弁してください。

 

              式     辞

                 

 本校グランド脇にある梅の花のつぼみがだんだん膨らみ始め、少しずつ近づいてくる春の足音に心を躍らせる本日ここに、本校PTA会長柴田つが子様をはじめ、多数のご来賓の皆様と、保護者各位のご臨席を賜り、平成三十年度卒業式を挙行できますことは、私ども教職員一同、大きな喜びとするところであります。

 ただ今、卒業証書を授与しました三学科合計二百七十一名の卒業生のみなさん、ご卒業、おめでとうございます。

 また、今日までこの上ない慈しみをもってお子様の成長を支えてこられた保護者のみなさま、またご家族のみなさまに心からお祝い申し上げます。

 さて、卒業生のみなさん、本日の卒業式にあたって脳裏をよぎるものはなんでしょうか。私にとってみなさんと過ごしたこの一年の一コマ一コマが、今、走馬燈のようによみがえります。

 五月の体育祭。その開会式に思い思いの服装で臨むみなさんは、本当に楽しそうで、その個性の輝きに私は深く心を動かされました。本校が創立以来大事にしてきたものがここに表現されている、強くそう実感しました。七月の文化祭。その閉会式で、三年次のみなさんが、一年次二年次の後輩に向かって、「ありがとうございました」と大きな声で感謝の気持ちを伝えました。感謝の念をきちんと心を込めて言葉に表すという、人としてきわめて大事なことを、みなさんは自分たちが考えた形で表現しました。どの学校にも負けない、すばらしいフィナーレでした。九月にはPSの発表会がありました。本校での学びの総仕上げとも言えるその発表会では、着眼点や発想に学びの楽しさがまぶしいほどに感じられました。十一月には美術科の卒業制作展がありました。個性あふれる一つ一つの作品が見る者に大きな感動をもたらしました。昨今「主体的・対話的で深い学び」が声高に叫ばれますが、各行事のみならずふだんの授業においてもみなさんはそれを見事に先取りして「深い学び」につなげておりました。

 この二月には、卒業生のみなさんの活躍を象徴するかのように、うれしいニュースが入ってきました。美術科の岩渕伶奈さんが、高校生読書感想画コンクールで見事全国最優秀の文科大臣賞を受賞したのです。その岩渕さんはこう言っています。「私が学んだことはネット社会の現代だからこそ自身で体験し、五感で受けとめる大切さだ。写真として残らない場面は記憶として筆者の心身に鮮明に刻まれているだろう。そんなワンシーンをサングラスとカメラに映した。」

ネット社会だからこそ、自分自身で体験し、それを五感で受け止めよう。心のシャッターを切って、大切な記憶として心に刻まれているもの、それを大切にしよう。岩渕さんはそう言っているように思います。たとえデジタルデータとして残っていなくても、この宮城野でみなさんは心のシャッターを何度も何度も切った、そう思います。目をつぶって、ひとつひとつのシーンをどうぞ思い出してみてください。それは、みなさんがこれから歩んでゆく人生の大きな支えとなるに違いありません。

 さて、みなさんの船出してゆく社会、それは激しく変化する時代です。グローバル化や超高齢化等、解決の難しい問題が数多く待ち受けています。そういう時代にあって、本校の卒業生らしいスタンスとは何でしょうか。

 そのヒントを、先日、ある大学の先生からいただきました。その先生は、「デザインとは、問題を解決するために何かを作り上げる行為であり、それによって人を幸せにするものである」、そういうふうに教えてくれました。

忘れかけていた「しあわせ」という言葉がありました。これはみなさんにぜひとも考えてほしいことです。私たちがそれぞれの未来に向かって歩んでゆくときに大切なもの。それは一人一人が「しあわせ」になること。しあわせになるために「未来」をデザインしなければならない。自分の未来、家族の未来、隣にいる友達の未来、恋人の未来、この宮城、東北、日本の未来、世界の未来、人類の未来、一人一人が輝く未来とは、それぞれがしあわせになること、そのための栄養分、手立て、工夫の仕方、言うなれば、「未来デザイン術」、「しあわせのデザイン術」を、この宮城野でみなさんは確実に学び取りました。自信をもって未来に歩み出してほしいと思います。

 保護者のみなさま、改めましてお子様のご卒業、おめでとうございます。卒業生の活躍を見る機会は、最上級生としてのこの1年間だけでしたが、強烈な印象を残してくれました。これから進学する者、就職する者、道はそれぞれですが、おそらくそれぞれの場所で光輝く人材になってくれると確信します。大いに頼りにしてください。

 最後になりましたが、ご来賓のみなさま、お忙しいところ、お越しいただきましてありがとうございます。卒業生にぜひとも励ましのお言葉をお願いします。

 さて最後にみなさんにお伝えしたいものがあります。本校正門を入って右側に大きな記念碑があります。大文学者島崎藤村の「藤村詩集」の序を引用し、このような一節が刻まれています。

   明治二十九年の秋、私は仙臺へいつた あの東北の古い静かな都会で私は一年ばかりをおくつた 私の生涯はそこへ行って初めて夜が明けたやうな気がした。

そうして藤村は「心の宿の宮城野よ」と、この宮城野への愛をうたいあげました。藤村にも心のシャッターを切ることが何度もあったはず。その藤村と同じように、みなさんもそれぞれに心のシャッターを何度も切り、本校が永遠の心の宿、宮城野として深く心に刻みこまれた、そのように強く確信するとともに、改めてみなさんの未来に幸多かれと祈念し、式辞といたします

          平成三十一年三月一日

              宮城県宮城野高等学校   校長 遠 藤 吉 夫

今日は、このへんで。