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人事異動

  この季節は、年度末年度はじめの異動の季節。3/24の朝刊に掲載されたとおり、本校からも何名かの先生がご栄転となり、また4/1には新しい先生方を迎えることとなります。今日は、その新しい先生方をお迎えして、事務手続きと引き継ぎ会がありました。経験豊富な先生と新進気鋭の先生方。ようこそ宮城野高校へ。4月からよろしくお願いします。今日は、お互いに自己紹介の後、私から本校の基本的な性格や学校運営方針等、少しばかり話をさせていただきました。輝くばかりの個性をもった生徒たちをよろしくお願いします。

 

先日、本屋さんで見つけた「濃霧の中の方向感覚」。鷲田清一氏の新刊です。「はじめに」で氏はこのように語り出します。

 

   前半 省略

 

「忘れてええことと、忘れたらあかんことと、ほいから忘れなあかんこと」。河瀬直美監督の映画『沙羅双樹』のなかで登場人物の一人がこうつぶやく。まずは傷とその記憶を整理するところから始めるほかないか、と。わたしたちもまた暮らしのフォーマットの再点検から再開するよりほかないのかもしれない。ぜったいに無くしてはならないもの、手放してはいけないものと、あればいいけど無くてもいいものと、端的に無くていいものと、ぜったいあってはならないこと。これらを大ざっぱにでも区分けできる、そんな《価値の遠近法》をまずは固めなければと、それぞれにいまじぶんが立っている場所で思い定めつつあるのかもしれない。

そのために必要なのは、わたしたち一人ひとりが、できるだけ長く、答えが出ない、出せない状態のなかにいつづけられる肺活量をもつこと、いってみれば、問えば問うほど問題が増えてくるかに見えるなかで、その複雑性の増大に耐えうる知的体力をもつこと。いま一つは、迷ってもいつもそこに根を下ろしなおすことのできるたしかな言葉、そこから別のさまざまな言葉を紡いでゆけるあきらかな言葉と出会うこと。

 鶴見俊輔は関川夏央との語らいのなかで、真理は「方向感覚」のことだと言っていた。(『日本人は何を捨ててきたのか』)。「真理は間違いから、逆にその方向を指定できる」、だから「間違いの記憶」をきちんと保ちつづけることが大事なのだ、と。フォーマットの再点検にあたってまず手にしておきたい、たしかであきらかな言葉の一つである。

 

先日から、この『濃霧の中の方向感覚』を読み始めましたが、久々にズシンとくる言葉に出会いました。

 

今日は、このへんで。