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古谷隆男先生、おめでとうございます

 

 今日から2月。冷え込みが厳しく、早朝、雪が少しばかり舞っていました。でも、週明けには立春を迎えます。この週末に豆まきを行うご家庭も多いと思います。梅のつぼみはまだまだ堅いままですが、ふくらみはじめる日もそう遠くないはず。少しずつ春を迎える準備を始めようと思います。

 さて、先月1/20の河北新報にうれしいニュースが掲載されていました。本校で長く国語科教諭として教鞭をとられ、また進路指導部長として本校進路指導の礎を築かれた古谷隆男先生ですが、このほど「平成30年下期 河北歌壇賞」を受賞されました。古谷先生、おめでとうございます。先生には、国語教師として心すべきことや授業の展開の仕方、また進路指導のイロハや勘所、本校のみならず県全体の進路指導の進むべき方向等、たくさんのことを教えていただきました。本校の進路室で先生と長い時間を過ごし、その夢のような時間の中で、教員としてだけではなく、人生の師として、先生は若輩の私にたくさんのことを授けてくださいました。それは私だけの気持ちではありません。先生の教えを受けた生徒たちは、先生を慕って質問にやってきたり、調べ物や勉強にきたり、とにかく進路室はいつも生徒でいっぱいでした。草創期の本校にあって、学校の核の一人として、先生の存在は本当に大きなものでした。

 せっかくですので、1/20の掲載記事を少しばかり紹介させていただきます。

 

花山多佳子 選

 

願ひ込めその都度そつと近づきし団地のポスト撤去されたり

 

(評)7月1日掲載。「その都度そつと」近づくポスト。そんな思いの対象だったポストが撤去された。奪われたのは単にポストだけではない。作者の歌には何げない心理のひだが掬われていて情感がある。「労られふと老いを知る帰り道遠回りして缶コーヒー飲む」(10月14日)も良かった。

 

受賞の言葉

受賞の知らせにびっくりです。友人や両親の健康を気遣った手紙や河北歌壇への投稿はがきをポストに投函しました。ある日、交差点の角にあるポストが撤去される瞬間に立ち会ったのです。私には高齢化の進む団地の風景を象徴しているように見えました。

 

 

 以上が、古谷先生の受賞の言葉です。プロフィールには、「東日本大震災で教え子を失い歌を詠むなどして、3年前から本格的に歌作を始めた」とあります。教え子を亡くした時、先生の心痛がいかばかりであったかと拝察します。

 

 せっかくなので、先生の他の作品の一部を紹介させていただきます。河北歌壇のみならず、朝日歌壇や、『短歌研究』に掲載された歌です。先生の生の歩みをしっかりと刻んだ作品ばかりです。

 

〇この駅もこれが最後と思ひつつ急き立てられて風の中行く

〇皆何か重く背負ひて鴉四つ時雨の畑黙して歩む

〇来るはずの便りもなくて私だけの待合室に風の音聞く

〇窓を打つ未明の風に灯をともし読みかけの詩集開きて眠る

〇どこからか野太き声の自慢げに新造船は孫の名をつけ

〇姪逝きて今日で百日心にも風の道ありて枯葉巻き上ぐ

〇人の世の変化に怯み五種類の大根作る山の畑に

〇雪明り等身大の息を吐く

〇冬越しの玉葱眠る雪原に敵か味方か足跡よぎる

〇旧友の死を告ぐる人なく独り酌む古里の酒空つ風吹く

〇梅の香に捨て来し故郷偲ばれて老梅の幹掌に甦る

〇歌詠めず呑みたくもなき夕暮れは画集引き寄せ砂漠を旅す

〇無農薬貫きし同志またひとり山畑を去る多く語らず

  選者評  山畑で無農薬栽培に取り組んできた「同志」が次々と山畑を去る。情熱と意志を注いできた農法。「多く語らず」にその苦難と挫折の歳月、心残りが見えるようだ。去られる思いがにじむ。

〇気嵐のリアスの海に立ち迷ひ数多の御霊揺るがせていく

〇どこまでも新しき道子供らと過ごしし町を捜しあぐねて

〇松籟の聞こえし家はそこになく海の匂ひに夜の窓浮かぶ

 

以上は、2018年の1月から5月までの新聞や専門誌に掲載された作品です。すごいですね。

6月以降の作品は、また後日、紹介させていただきます。

 

今夜は、アジアカップの決勝戦。もちろん日本を応援しますが、どちらが優勝するにせよ、フェア

プレーをお願いしたいところです。

 

今日は、このへんで。