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校長通信

『猫はしっぽでしゃべる』続き&卒展の校内展示第2弾

  田尻久子さんの『猫はしっぽでしゃべる』については、先日書いたばかりですが、続きを読んでいたら、「橙書店・田尻久子さんに寄せて」という栞が挟んでありました。伊藤比呂美さん、川内倫子さん、坂口恭平さん、渡辺京二さんが、心温まるお祝いの言葉を連ねています。せっかくですから、密かに敬愛する詩人伊藤さんの「祝電ひとつ」をそのまま引用します。伊藤さん、勝手に引用することをお許しください。

 

 

   祝電ひとつ

 

   橙書店 田尻久子様

 

   一書店、一カフェとして、

   アルテリの編集局として、

   熊本文学隊の本部として、

   熊本で、

   ひらき、すすめ、つづけ、つなげた、

   つなげてきてくれた。

   人と人を、人と本を。

   そこに入れば、久子さんとお店が、

   わたしたちの背中をおしてくれる。

   あるいはそっと椅子をひいて、

   立っていないですわれとうながしてくれる。

   尋ねれば、わたしたちの心に

   飛びこんでくるような本をすすめてくれる。

   お城の石垣が壊れても、

   阿蘇の山が崩れても、

   橙書店は、場所を変え、姿を変えながら、

   わたしたちのそばにありつづける。

   こんなに小さくて、

   こんなに狭いからです。

   本と人しか、いないからです。

   おめでとう。橙書店。ありがとう。久子さん。

 

     橙書店 第39回サントリー地域文化賞受賞

 

詩人の伊藤比呂美さんのお祝いの詩です。

 

素敵なお祝いですね。人の心に確実にあたたかいものをもたらしてくれます。

 

昨日の夕方から、生徒が卒展の校内展示の模様替えをし、今朝学校に来てみると、1F食堂前のホールの雰囲気がまた変わっていました。小さな小さな空間ですが、そこに生徒が心を込めて作った作品が展示されると、こんなにもあたたかな場所になるんだなと思います。

 

少しばかりですが、写真でご覧ください。ついでに先日の授業で三年次の生徒が後輩に創作意図等を説明しているところも添えたいと思います。

 

明日は、「土曜ゼミナール」。学校外から講師の先生方がたくさん見えますが、ご覧いただいて感想をいただければ幸いです。

今日は、このへんで。

 

 

「舞姫」(校内卒展追加)

  昨日までの暖かい天気から、今日は一転して冬本番のような寒さ。冷たい雨が降り続き、雪にならないのが不思議なほど凍えるような寒さの一日でした。

 さて、朝の打合せ後に、国語の郷右近先生が校長室に現れ、3年現代文の「舞姫」の授業が佳境に入るので、ぜひ参観してほしいとのこと。渡されたのは、生徒が書いた感想文。「印象に残ったフレーズ」を抜き出して、書いたもの。それがクラス毎にまとめられています。生徒は、そのクラスの友達が書いたものを読んで、印象に残ったものを選び、グループで発表し合うもの。友達の意見を聞いて、自分の考えが深められるとすれば、一歩前進。お誘いを受けた1校時、37Hの授業を参観しました。

 なつかしいですね。鷗外の「舞姫」です。私も力が入りました。今の生徒は、どんな感想を持つんだろう? 興味津々のぞいてみると、まあ、すごいですね。感心です。

 

引用フレーズ

「我が母は余を生きたる辞書となさむとし、我が官長は余を生きたる法律となさむとやしけむ」

感想

“生きた辞書”や“生きた法律”のような言葉が私の中には今まで存在していなかったので、衝撃を受けたフレーズだった。自分の意志で学問に専念したり、政治学や法律を学んでいたら、本来は最大の褒め言葉のはずが、そう感じることが出来ずまことの我に目覚めた豊太郎の人生がどれほど所動的、器械的で冷めきったものだったのか感じた。言われたことを忠実に従い、敷かれたレールをそのまま進めば肩書き上は成功した人生を送ることができるかもしれないが、自分の意志に従うことが、どんなに失敗したとしても人生としてみては成功なのではないかと感じた。

 

これは、感想文集の最初にあるものです。以下、「舞姫」の中の、記憶に長く残るはずのフレーズがたくさん引用され、各自の感想がまとめられています。各グループ、活発に意見の交換がなされていましたが、幾分男子だけのグループの盛り上がりが目立っていました。小説自体、デリケートなところを抱えているため、男子だけとか女子だけのほうが、遠慮なくストレートに意見を出し合えるかもしれません。

 とにかく、久しぶりに「舞姫」の授業に立ち会えて、感激しました。懐旧の情にたっぷりひたることができました。郷右近先生、そして37Hのみなさん、ありがとうございました。

 

 卒展の校内展示12/4の様子を写真で紹介します。本日午後に出張から帰ってきたら、作品の入れ替えが行われていました。新しく展示された作品は、明日以降、紹介します。

今日は、このへんで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『猫はしっぽでしゃべる』

  夜明け方、小雨がぱらついたのでしょうか? 庭先が雨に濡れていました。気温が高い分、凍結もせず、乾燥していた空気に、ほどよい湿り気が加わって、過ごしやすい一日でした。明日まで平年よりも気温の高い日が続くようですが、週末にかけてまた寒さが戻ってくるようです。体調管理に気をつけて過ごしましょう。

 さて、出張先の熊本の小さな本屋さんで素敵な本を見つけてきました。

『猫はしっぽでしゃべる』

田尻久子さんの本です。

帯にはこう書かれています。

 

熊本の〈小さくて不便な本屋〉橙書店。

看板猫と共に日々店に立ち、人と人、人と本をつないできた店主による

本と猫と記憶にまつわる初めてのエッセイ集。

 

「人と人、人と本をつないできた店主による ~」とあります。おそらく私がお店にお邪魔した時間にカウンターにいらっしゃった、凜とした素敵な女性は、田尻さんであったろうなと、勝手に想像しています。話しかけてもよかっのですが、そのときは羞恥心が勝りました。すみません。 

 

本を開くと、目次の前に、「開店のお知らせ」が書いてありました。心をこめて書かれた文章だと思います。気がひけますが、自分が授業を持っていたら、たぶん明日の授業の一番最初に紹介するだろうと思います。なので、ここで本校の生徒のみなさんに紹介したいと思います。

 

     小さな本屋をつくりました。

     たとえば、

     繊細な切子のガラス

     素朴であたたかな焼き物

     凜として美しい漆腕

 

     そういった ひとつひとつを選ぶとき

     大切に そっと 手に取ります。

     心を込めて作られたものですから。

 

     「一冊の本を選ぶときも、そうであってほしい」

     そんな気持ちで、つくりました

 

     言葉を紡ぐ人

     絵を描く人

     写真を撮る人

     本の顔を作る人

     それを一冊にまとめあげる人たち

 

     一冊の本もきっと、心を込めて作られています。

 

     大切に売りたいので、たくさんは置いてありません。

     不便な本屋かもしれません。

     探している本は見つからないかもしれません。

 

     でも、旅先でふと出会う人や風景のように

     本と出会える本屋でありたいと思います。

 

     場所は「orange」の隣、名前は橙書店です。

     近くにお越しの際は、ふらりとお立ち寄りください。

                      

                      主人敬白

 

 

このような「開店のお知らせ」で始まる素敵な本に出会えたことに感謝です。

 

紹介したいところは、たくさんあるのですが、今日はこのへんで。

 

 

「奈良~東京間駅伝バースディープレゼントリレー」

 あっという間の師走。木枯らしが吹くかと思いきや、穏やかな天気に恵まれました。このまま暖冬が続くのでしょうか。用心するのに越したことはないので、私は昨日冬タイヤに履き替えました。路面が凍結する季節になれば、多発するのがスリップ事故。自転車通学の生徒は、くれぐれも安全運転を。先週も本校生徒が自転車通学中、車との接触事故に遭っています。

さて、水曜日から熊本での全国高文連研究大会。熊本入りした日は、少し雨がぱらついたのですが、大会期間中は天気に恵まれ、ポカポカ陽気でした。各県代表の事例研究発表もすばらしいものぞろいで、大いに参考になったのですが、まず報告したいのが、初日の開会式直後にあった記念講演会。講師は、クマもんの生みの親である小山薫堂氏でした。講演題は「幸せの企画術」。企画会社を経営する小山氏ならではの、とても深く心を揺さぶられる内容で、あっという間の90分間でした。小山氏からすれば、何か企画を発想するとは、自分の大切な人にバースディープレゼントを贈るようなもの。だから「感情移入」が大切と教えていただきました。たとえばの話がすごかったです。小山氏が経営する会社では、社員のバースディーをとても大事にしているそうで、それは企画の練習にもなるそうです。ワクワクしますよね。単にプレゼントをあげておしまいではないのです。それを世界で唯一無二のプレゼントにするんです。そうするためにどうするか? 例としてあげたのが、小山氏自身のバースディーのエピソードでした。社員の方々は、小山氏に、彼の好きな陶芸作家の器をプレゼントしようと考えました。その陶芸作家は奈良県に住んでいます。単に買ってきて、バースディーパーティーの時にプレゼントすればおしまいです。それなりに喜ぶかもしれませんが、ありがとうでおしまいになるかもしれません。社員のみなさんは、一生懸命考えました。それで、小山氏が箱根駅伝ファンであることを思い出します。これだ、ひらめきました。社員による奈良~東京間500キロの駅伝プレゼントリレー! 奈良県の山奥から東京まで、500キロ。その距離を社員がみんなでプレゼントの器をつないで駅伝リレーするのです。そのリレーをビデオで撮ったものを、講演会の会場で流してくれました。すごかったです。これだけで、会場がどよめきました。この他にも、たくさんのエピソードがあるのですが、それはまたの機会に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テレビ電話?

  定期考査初日が無事終了しました。みんなのふだんの行いがよろしいせいか、小春日和。予想最高気温は17度。お昼には、外の日向でお弁当を食べている生徒もいたぐらいの陽気でした。

 さて、午後から県の「全国豊かな海づくり大会推進室」の方々が来校され、大会テーマ&キャラクターコスチュームデザイン募集の説明を受けました。美術科のある本校生徒にぜひとも応募してほしいとのことでした。平成32年度の秋に開催が予定され、宮城県では初めての開催となる同大会。盛り上げるためにも、本校生徒がたくさん応募して、採用されることを願っています。

 放課後の暗くなってから、丹羽先生が校内卒展の作品前で、ipadを手にしてなにやら怪しげな動きをしているのを発見。尋問してみたら、なんとそのipadを使って、京都の銅蛇工芸高校とテレビ電話を試しているとのこと。卒展の作品を銅蛇工芸高校にライブで送信して、銅蛇工芸高校の先生から生でコメントをもらうという試みをやっているらしく、へえーとびっくりしてしまいました。これはおもしろいと思い、のぞいて見るとなんとそこに銅蛇工芸高校の校長先生が登場。お互いに画面をのぞいて「はじめまして」と挨拶し、お互いの交流会のお礼をかわしあいました。吉田校長先生、どうも失礼しました。これからもよろしくお願いします。

 放課後は、今年度四回目の三年次の推薦選考会議もあり、また二年次の進路志望校検討会議もあり、某流通大手の社長室で活躍中の8回生の卒業生の訪問あり、さらには校内の25周年記念事業委員会もあり、定期考査でありながら、息つく暇もないくらいの忙しさでした。生徒のみなさんも、今頃は明日2日目の定期考査に向けて猛勉強中ですね。粘り強く、がんばってください。

 小生は、高文連の全国研究大会参加のため、明日から熊本へ。しばらくこの校長通信はお休みです。卒展紹介、またまた延期です。すみません。

 今日は、このへんで。