校長通信
「日々是好日」
昨日14日は、成人式。多くの自治体は、この三連休中に成人式を行ったようです。久しぶりに同級生と顔を合わせ、心を新たにして式典に臨んだ新成人が多かったと思います。小生にも、もちろん、そういう時代がありました。ただし、生まれ育った故郷を離れて学生時代を送っていた自分は、帰省の旅費を調達できず、無理して工面しようという気にもならず、大学の先輩の開いてくれたささやかな成人祝いの会をもってその日をやり過ごしました。記憶の底に仕舞ってある、思い出の一コマです。
さて、三連休中に、映画を一つ見てきました。まもなく最終日になってしまうと思って、急いで見てきたのです。「日々是好日」。昨年、お亡くなりになった女優の樹木希林さんを見たくて、映画館に足を運びました。
静かな映画ですね。黒木華さん演じる、いろいろな面で不器用な主人公が、樹木希林さん演じる先生のもとへお茶を習いに通い始めます。最初は不器用なままに失敗の連続、落ち込みがちであった主人公が次第に(長い年月をかけて)凜とした型を習得していきます。考えてみれば、お茶も型の習得の連続(この表現、間違っていたらごめんなさい)ですから、若い主人公は先生から注意を受けると、それは何の意味があるんですかと、口をとがらせます。無理もないですね。現代は、なんでもかんでも、いろいろなものに意味を求める時代です。「そんなの意味、ありません!」、この一言でいろいろなものをうち捨ててしまう時代です。でも型から入って、自然にからだが動くようになってはじめてわかるもの、そういう大事なものがあります。
また「日々是好日」。この意味について、主人公とその友達が、「どういう意味だろうね」とおしゃべりする場面がありました。「毎日が好い日」。しかし毎日がよい日だなんて、そんな嬉しい話があるわけないじゃない!誰だって、怒りますよね。この禅語を疑問視するほうが多いはず。
人生そんなに甘いものじゃない、生きることの辛さを知っている人は、人生を「よい」の一言でくくることなどとてもできないのだと思うはず。
でも、森立嗣監督が見事に映画で教えてくれます。
さて、三年次生のみなさん、今週末からいよいよセ試です。受験する生徒のみなさん、準備は、よろしいですか?
卒業までに、ちょっと余裕ができたら「日々是好日」へ。
今日は、このへんで。
「いしぶみ」後半
昨日の続きです。「文 小山薫堂 絵 黒田征太郎」の『いしぶみ』のラストです。
そんなぼくも
最近はほんとうに
出番がなくなりました。
誰もぼくをひろってくれなくなりました。
わざわざ苦労しなくても
I LOVE YOUを
カンタンに伝えられますからね。
さみしいなぁ ぼく。
あなたに
ワガママを言ってもいいですか?
ときどきでいいから
ぼくをひろってください。
そして
あなたの大切な人に
ぼくを渡してください。
手でギュッとにぎりしめて
あなたの想いをぼくに吹きこんでください。
つめたいぼくが あたたまるくらいに強く。
そのぬくもりがあなたの心です。
あなたの大切な人は きっと あなた以上に
ぼくを強くにぎりしめるでしょう。
あなたの心を知りたくて。
手から手へ。
言葉にできない気持ちを伝えたい。
きっとぼくは
あなたの近くにころがっています。
これで「文」自体は終わりです。絵本ですから、このラストのセリフの後に、ハートマークの石ころと、まあるい石ころの絵が、見開きで左右に描かれています。
さて、どうでしたか。
前半の、ほぼ半分を省略していますから、ごめんなさいとしか言えないのですが、だいたいの雰囲気は味わってもらえたかなと想います。
たくさんの『いしぶみ』さんに、お礼を言って今日は終わります。
明日から三連休です。セ試直前の一週間前となります。三年次生が最後の追い込みをかけるときです。『いしぶみ』さんが、みんなを守ってくれます。安心して、勉学に集中してください。
今日は、このへんで。
あの日に伝えられなかったもの・・・「いしぶみ」
放課後に、宮城野高校新聞サークル所属の生徒3名が校長室にやってきました。3月に発行する宮城野高校新聞に掲載したいので、ぜひインタビューさせてくださいというお願いです。ウワーという感じです。羞恥心の塊の小生は、口重たく、まともなインタビューにならないと思ったのですが、新聞記者魂に燃える3名の記者に、言葉巧みにのせられ、ついついいろいろとしゃべってしまいました。中身は、3月発行の新聞に掲載されます。すみません。今村先生の検閲力に期待します。
さて、1/7の記事に、実は別原稿を用意していましたよ、後日紹介しますよと予告しました。忘れてしまうといけないので、今日、早速紹介します。
あの日に用意していた別原稿のテーマは『いしぶみ』でした。去年11月末の熊本出張の際に手に入れた絵本です。「文 小山薫堂 絵 黒田征太郎」とあります。帯には「この絵本は、映画『おくりびと』から生まれました。」と書かれています。そして帯全体は、映画「おくりびと」のワンシーン、本木雅弘扮する主人公が、その奥さん役の広末涼子に、「いしぶみ」をプレゼントする、とてもナイスなワンシーンの写真です。映画『おくりびと』をご覧になった方は、覚えていますか?
表表紙の袖には、「それは それは 僕の一生なんて ひどいものです。 でもね 仕方がないのですよ。 ぼく 石ころだから。」と書かれています。一方、裏表紙の袖には「でも、ね。 こんなぼくにも ひとつだけ 自慢できるものがあります。 いまから 何千年も、何万年も前の おおむかし。 人々がまだ言葉をしらなかったころ ぼくは手紙として かつやくしていました。」とあります。石ころの手紙、それがタイトルにある「いしぶみ」です。
ページ数、60P。左側のページに言葉がゆったりと連ねられており、右側にかわいらしい「いしぶみ」さんの絵が載っています。
せっかくなので、少し紹介します。途中からです。
みんな言葉を知らないから
元気にしてる? とか
さみしくない? とか
ごめんなさいも 言えません。
そんなとき 自分の気持ちに似たかたちの
石ころをさがして 相手に渡すのです。
げんこつのように大きな石。
南天の実のように小さいけれど
まんまるの石。
つるんとした石。
握りしめると痛いくらいに とがった石。
それぞれの石に
人々は自分の気持ちを重ねました。
え? ぼくの役目?
ぼくがいつも伝えていた気持ちは・・・
I LOVE YOU.
ですよ。
完璧にまぁるいわけじゃない。
でもギュッとにぎりしめると
心が落ちつくような形。
スベスベしていて 安心するさわり心地。
たまにはカチンとぶつかるけど
まっぷたつにならない強さ。
適当な重さもよかったみたい。
もう少し続くのですが、後半は明日に。
新聞サークルのみなさんへ。少しばかり、私からお礼の絵本と思っていただければうれしいです。
今日は、このへんで。
「四季の重箱」
今朝は一段と冷え込みが厳しく、家を出るとき車の温度計は、マイナス2度を指していました。みなさん、風邪をひかないように気をつけて。
さて、昨日、LHRで百人一首を実施していた一方で、残りの3クラスの一年次生は、校外清掃のボランティアに出かけておりました。厳しい寒さの中、お疲れ様でした。ありがとうございます。おかげさまで、本校生徒が登下校で利用する通学路周辺がとてもきれいになりました。これからも末永く地域の方々と気持ちの良いおつきあいを続けていきたいものです。気持ちの良い、快適な街作りに協力をよろしくお願いします。
ところで、長らく校長室に置かせてもらっていた「四季の重箱」ですが、そろそろ卒業も近いので、作者の遠藤未菜さんにお返ししました。四季折々に、季節の風情をその小宇宙で趣深く表現していた「四季の重箱」です。心あらず、感情が波立つようなときに、ふと目をやると、自然と心がなごんでくるような、とても不思議な力を秘めた重箱でした。ありがとうございました。またどこかで会えるといいですね。
講談社のPR誌「本」1月号が手元に届きました。水原紫苑氏の連載記事「百人一首うたものがたり」が毎号楽しみです。今回は52番藤原道信の「明けぬれば暮るるものとは知りながらなほ恨めしき朝ぼらけかな」の歌が艶やかに紹介されています。ここでみなさんに伝えたいのは、水原氏が引いた同じ道信の和歌二首。
さ夜ふけて風や吹くらん花の香のにほふ心地の空にするかな 千載集
散りのこる花もやあるとうち群れて深山がくれをたづねてしがな 新古今集
「四季の重箱」にそっと書き贈りたい歌です。
今日は、このへんで。
新テスト・・・百人一首
一・二年次生徒の授業が今日からスタート。昨日は課題テストがありました。冬季休業中の学習成果は、どうだったでしょうか? 一年次は英語のGTEC検定もありました。これからはますます英語の4技能がバランス良く求められる時代です。一年次生は、新テスト(共通テスト)初年度にあたるので、しっかり4技能を磨いてほしいと思います。
ちょうど年末に高大接続改革をテーマにした入試研究会に参加してきました。講師は、今度の改革を「マイナーチェンジ」ととらえるべきで、学びの本質を見失わないでほしいと語っていました。確かに情報に振り回され、右往左往するのはいただけません。しかし、試行テスト等をきちんと分析し、新傾向の問題対策をしっかり練ることは、必要と思います。本日来校されたお客様も、試行テストを全教科自分で解いてみたとおっしゃっていましたが、その方曰く、問題を解く上で、与えられる情報量が多くなり、要不要を見分けるだけで、慣れていないと相当無駄な時間を費やしてしまう、確実に問題傾向に対する慣れは必要とのことです。今後、本校でもしっかり新テスト対策を実行に移していきたいと思います。みなさんも、学校から発信される情報をきちんと受け止めて、賢い受験生になってほしいと思います。
さて、今日のLHRで、一年次生の一部は、クラス対抗で百人一首に挑戦していました。みんなワイワイと男女が入り交じり楽しくやっていました。こんな感じです。(写真参照)。
今日は、このへんで。